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スープストックトーキョー「OB・OGキャリアインタビュー」

vol.14

 

スープストックトーキョー「OB・OGキャリアインタビュー」

 

実は人事を目指していたわけではなかった

 

──江澤さんはアルバイトとしてスープストックトーキョーに入ったんですよね。

 

短大を出てから5年くらいフリーターとしてアルバイトをしていました。

 

あるとき長く勤めていた飲食店を辞めて、半年間バイトもせず、次に何をしようか決められない時期があって。その時に京都旅行で泊まったゲストハウスの夫婦が楽しそうに働いているのを見て「私もいつかゲストハウスをやりたい」と思ったんです。

 

そのために店舗運営や経営を学ぼうと思い、先にスープストックトーキョーでアルバイトしていた友達の紹介で働くことを決めました。

 

──そこから契約社員、正社員となり、法人営業から人材開発部に移りました。どのタイミングで人事の仕事を目指すようになったんですか?

 

★江澤さんのこれまでの「スープストックトーキョー」年表

 

2005年2月 アルバイトとして入社
2006年10月 正社員となり都内3店舗の店長に就任
2010年6月 法人営業グループに異動し、冷凍スープ「家で食べるスープストックトーキョー」のブランド立ち上げ、17店舗の新店立ち上げに関わる(エリアマネジャー)
2015年10月 人材開発部部長に就任
2016年2月 分社に伴い取締役兼人材開発部部長に就任
2019年4月 取締役副社長兼店舗営業部部長に就任

 

実は人事を目指していたことはなくて。店長やエリアマネジャーとして一緒に働く仲間をまとめて、お客様にいいものを提案する営業の仕事がすごく楽しかったんです。

 

約10年間、現場や法人営業でヒト・モノ・カネを扱う中で、特に人の教育や接客のレベルアップを強く意識してきました。仲間の成長にどう関わるか、自分が採用した方をどう育てるかを現場で常に考えるのが楽しかったんです。

 

なので、会社から人材開発部の話が来たときには「現場との距離が離れてしまったらどうしよう」と少し不安に思いました。

 

使う人の顔が浮かばない制度は作らない

 

スープストックトーキョー「OB・OGキャリアインタビュー」

 

実は人材開発部に入ってから1年くらいは新しい人事制度の準備に追われて、ちょっと自分自身のモチベーションが上がりづらかった時期がありました。

 

私は人の育成はしてきたけれど制度作りには慣れていなかった。一人ひとりの社員の入社理由や、今感じていること、今後の目標を知らずに制度を考えるのはどこか違和感がありました。

 

そこで一度、自分の気持ちをリセットする思いで、社員との個別面談の時間を作りました。だいたい月20人くらいと会いましたね。改めて社員の人となりやお店への思いを知り、みんなからパワーをもらえたんです。

 

「このメンバーが頑張れるための舞台をつくるんだ!」とモチベーションを上げました。

 

制度そのものを作るのは割と簡単な気がしていて。ただ、運用されないとか、働く人にとってうれしいものにならないのでは意味がないんです。使う人の顔が浮かばないものは作ってはいけない。

 

──面談を受けて、実際に制度として形になったものはありますか。

 

「生活価値拡充休暇」です。社員と話す中で、カレンダー通りに休みにくい飲食業ならではの「働く環境」への引っかかりが大きいんだなと気付きました。2018年4月から「生活価値拡充休暇」などを導入して年間の休日休暇を18日増やし、給与はそのままで年間120日間休めるようにしました。

 

飲食業は商品を目の前のお客さまに届けて「ありがとう」と言われる、すごく価値のある仕事だと思うんです。だからこそ、働くみんなを「飲食は休めないんですよね」と悲観的にさせず、堂々と働いてもらえる環境にしたいと強く思います。

 

女性が役職につくハードルを下げたい

 

スープストックトーキョー「OB・OGキャリアインタビュー」

 

──アルバイトから始まり今は副社長に就任しましたが、もともとキャリアップしたいと思っていたんですか?

 

自分から手を上げたのは店長の仕事だけでしたし、まさかここまで大きな枠の経営に関わるとは考えていませんでした。ただ、目の前の仕事に正面から向き合い「誰のために、何のためにやっているのかを意識する」というこだわりを強く持って取り組んできて、周りから「次はこれをやってみないか」と声を掛けていただいた感じです。

 

スープストックトーキョーは男女比が3:7で女性が多いんですが、経営に関わるメンバーは男性が多かったんです。性別は関係ないという思いもありつつも、どこか不自然だなと感じて。「女性が役職につくハードルを下げて道を広げるには、自分がやらないと」という謎の使命感があったんです(笑)。

 

もちろんプレッシャーはありますが、実際にやってみて違ったら自分が退いて別の方にお願いすることもできるし、どの役職でも自分のやるべきことはそんなに変わらないと思うんですよね。

 

──副社長兼店舗営業部長として、今後の目標は。

 

店長の育成に力を入れたいです。店長の人事体制を整えて、育成に当たる人材開発部のメンバーも増やしたい。本社全体としても店舗をよりサポートできるようにする予定です。女性の活躍も、自分の背中を見せて後押しできればいいなと思います。

 

──何か人材育成が好きになるような原体験があったのでしょうか。

 

人を育てるというか、純粋に「人」に興味があるんですよね。

 

私は小さい頃は引っ込み思案で自分の意見を言えないタイプだったんですが、小学2年生のときにクラスで少しいじめられたことがあって。その時に自分の意志を示さないとだめなんだと感じてから、性格がガラッと変わったんです。

 

自分が意見を言うようになったら、今度はいろんな人の意見が聞こえてきて、「どうして人の意見や思いってこんなに違うんだろう、もっと知りたい」と思いました。それが今、人に関わる仕事をしている原点なのかもしれないですね。

 

──女性としての夢や、ゲストハウスの夢は?

 

女性としては、結婚して子どもが欲しいです。私もいろいろな社員の育成に関わってきましたが、育児って人の根幹になる人格を形作るところから始まるわけじゃないですか。すごく興味があるんです(笑)。

 

ゲストハウスは……いつの日か、そういうことをできたらいいかなとは思います。地元でゲストハウスを開いたら老後が楽しそうかな、なんて(笑)。今はスープストックトーキョーというチームをどう強くしていくかに一番興味があります。自分もまだまだ未完成なので、仲間と一緒に成長していきたいです。

 

江澤さんのある日のスケジュール

 

8:00 起床
8:30 通勤。移動中はWEBで読める社内報「Smash」でパートナーからの嬉しい投稿にコメントを。
9:30 出社。オフィスは開けた雰囲気なので周囲の仲間と会話をしながら始業する。
10:00 採用担当である部下と来年度の採用コンテンツについてMTG。
12:00 昼食。スープストックトーキョー中目黒店が近くにあるので、他のスタッフと社食のように活用中。
13:00 アルバイトパートナーの登用面談面接に立ち会う。自由度が高いプレゼンなので個性がでる。
14:30 上記のパートナーに無事に内定が出たので、今後のスケジュール確認やサポートをしていた店長に内定連絡。
15:00 社内のプロジェクト発表会「Soup Stock Tokyo Grand Prix」の打ち合わせ。
18:30 帰社。店舗にいる新卒メンバーから食事に誘われたので、気になっていたお店でごはん。
22:00 帰路につく。家族との時間も大切にするようにしている。
23:00 就寝。

 

株式会社スープストックトーキョー
取締役副社長兼店舗営業部長
江澤身和

 
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