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mixi「OB・OGキャリアインタビュー」

vol.15

 

mixi「OB・OGキャリアインタビュー」

 

SNS「mixi」、スマホアプリ「モンスト」でヒット

 

2018年6月、森田仁基前社長に代わり、モンストの生みの親でもある木村弘毅氏が新社長に就任。さらに、同年4月には新たに執行役員12人が就任し、経営陣も様変わりした。

 

木村社長が掲げたのは、コミュニケーションサービスを事業ドメインに再定義すること。モンストの流行から数年が経ち、mixi、モンストに続く「ミクシィの第三のホームラン」が欲しい――。その軸になるのが、両コンテンツのヒットの根源にある「コミュニケーション」だと考えた。

 

経営陣の方針を受けて、人事部はどう動いたのか。

 

2019年卒の新卒採用までは、以前のコーポレートミッションだった「新しい文化を創る」を軸に採用活動をしてきた。当時から「コミュニケーション」を採用基準の一つとして重視していたが、木村社長の新しい方針では、それをより強く打ち出すことになる。

 

「人事側が『いいな』と思う学生像が、人事側の独りよがりになっては困る」。2020年卒の採用を前に、佐々木さんは不安を感じた。そこで、人事部は新卒採用の「求める人物像」をすり合わせるワークショップの開催を役員に提案した。「ワークショップを提案した時、役員も『やりましょう』と前向きに応えてくれた」(佐々木さん)。

 

ワークショップは3〜4時間に及び、人事部と役員とで新卒採用の方針を綿密にすり合わせた。役員陣の「コミュニケーションサービスの領域で、新しい価値を生み出す人材が欲しい」という方針を受けて、人事部と役員が意見を出し合い、求める人物像として3つの要素を定義した。

 

ミクシィ2020年卒新卒採用の「求める人物像」【新しい価値を生み出す人材】
(1)何かを「成し遂げたい」と思う強い気持ちがある
(2)柔軟に取り組み、学ぶ素地がある
(3)独自の工夫を加えて、周囲を巻き込みながら行動できる

 

役員と人事のコミュニケーションによって明確化された「求める人物像」が、ミクシィの新しい新卒採用活動の基礎となった。

 

「モンストの会社」の先を理解できるビジネスコンテスト

 

mixi「OB・OGキャリアインタビュー」

 

「求める人物像」を軸に、採用チームは新しい採用手法を考えた。それが「ビジネスコンテスト」だった。

 

コンテストの背景には、採用市場の変化も関係している。佐々木さんは「ここ数年で学生の就職志向が多様化し、在学中から起業を目指す学生が増えた」と分析する。
「(自分で起業し、既存の)企業に属さなくてもいい時代にミクシィをファーストキャリアに選んでもらうにはどうすればいいのか、考えた」(佐々木さん)

 

人事部は起業志向の学生に向けたミクシィの魅力として「mixi、モンストの2つのヒットコンテンツを生み出した優秀な人材がいること」、「ミクシィの資産を使って大きな挑戦ができること」を押し出すことに決定。さらに、事業ドメインでもある「コミュニケーションサービス」を生み出す会社であることも伝え、理解を深めてもらうことにした。

 

起業思考の強い採用市場の中で、ミクシィがより「求める人物像」に近い学生を採用する方法として実施したのが、ビジネスコンテストだ。

 

コンテストでは会社説明を丁寧にした上で、チームごとに新規事業を考えてもらう。特徴は「新規事業のジャンルを一切決めなかった」こと。あえて事業の枠を決めず、ミクシィの社員と全く同じ状況で新規事業を考えてもらう狙いがあった。その後、現場で活躍する社員がフィードバックし、もう一度ミクシィの理念を伝えることで、より会社理解が深まる。

 

学生からは「ミクシィグループの現状を理解した上で、リアルな感覚を持って新規事業を考えることができた。今までで一番、本気で参加したコンテストだったかもしれない」との感想をもらった。

 

「まだまだ学生からは『ミクシィはモンストの会社』と思われることが多い。コンテストにより、学生が今のミクシィの現状や『モンストがヒットした理由』(コミュニケーションサービスの魅力)まで理解した上で選考に臨んでくれた」(佐々木さん)

 

人事担当者が最終面接まで学生と「伴走」

 

「コミュニケーション」は選考中の学生と人事部との間にも浸透している。1次面接を通過した学生には必ず人事担当者1人がパートナーとなり、最終面接まで伴走する。会社の理解を深める情報、次の面接の面接官の情報や考え方、面接までに準備しておいてほしいことなどを、できる限り対面でアドバイスする。「ミクシィの良さやミクシィでできること、できないことを知ってほしいし、学生ができること、もっと成長できる部分も知りたい。互いに誤解がないようにしたい」と、学生とのコミュニケーションを重視する理由を語る。

 

2020年卒採用では面接の進め方も変えた。19年卒までは最終面接に役員全員が参加していたが、判断基準がぶれないようにするため、人事担当の役員1人による面接に変更。2次面接の面接官もマネージャー級から1〜3年目の若手社員に変え、身近な先輩と話せるようにした。

 

mixi「OB・OGキャリアインタビュー」

 

4月末時点で20年卒採用はほぼ終えつつあり、目標の採用人数も達成する見込みだ。
佐々木さんは「新しい取り組みでコミュニケーションサービスを打ち出し、選考に進んだ学生の質にも大きく影響した。採用活動が一段落したら、今後の課題や改善策を考えたい」と、ひとまず胸をなでおろす。「やりきった感が大きい」と言い切る佐々木さんの表情は明るかった。

 

ミクシィの強みは、mixiやモンストのヒットを支えた「コミュニケーション」を採用活動でも徹底したことだった。佐々木さんが自ら役員に掛け合って長時間のワークショップを実現させた行動力、その思いに応えて求める人物像をすり合わせた役員の理解力。そこで明確化された方針に合わせて的確な採用手法を実行できたことが、ミクシィの採用戦略の秘密だった。

 

「世間に惑わされず、自社がやるべきこと、できること、学生が求めていることを考える。採用活動の入り口から出口まで、一貫したストーリーを描いて実行することが大事」。佐々木さんは言い切った。

 

株式会社ミクシィ
人事部新卒採用グループ
佐々木忠輝

 
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